よくある病気

よくある病気



脂質代謝異常症(高脂血症)

平成26年12月28日

血液中の脂質の異常濃度(中性脂肪、コレステロール、またはその両方)のことを言います。

犬の脂質代謝異常症は一般の臨床診療でよくみられる疾患で、一次疾患またはほかの疾患に続発するかに分けられます。
二次的な脂質代謝異常は、最も一般的な病態で、内分泌疾患の結果であることが多いですが、膵炎、胆汁うっ滞、タンパク漏出性腎症、肥満、高脂肪食を食べることでも起り得ります。

犬の一次的な脂質代謝異常は、余り一般的ではありませんが、ミニチュア・シュナウザーやシェットランド・シープドッグは最も一般的なタイプで遺伝的な素因を持つといわれています。

犬の脂質代謝異常症の合併症は膵炎、肝疾患、アテローム性動脈硬化症、眼疾患、全般発作があります。

低脂肪食に反応しない場合、オメガ3脂肪酸、脂質代謝改善薬を投与します。


脂質代謝異常の検査を検討する例として
1.総コレステロールや中性脂肪が高い
2.減量用フードしか与えていないのに痩せない
3.原因不明の失神、発作を繰り返す
4.高齢で発症した皮膚症状(かゆみ、膿皮症、脂漏症など)
5.空腹時血糖値が高い
6.急に眼が濁った、目が見えない様子がある
7.X線検査で肝臓・脾臓が腫大している
8.脂っぽい食べ物を与えるとよく吐く、下痢をする、膵炎様症状を繰り返す
9.超音波検査で胆泥が溜まっている、ALP値が高い
などがあります。


当院で依頼している、脂質代謝解析を行う検査会社です。


膝蓋骨内方脱臼

平成20年4月8日

この脱臼は、初めてのワクチン接種で来院される小型犬の子犬で、すでに症状があらわていることが多い病気のひとつです。
小型犬を家族として迎える方多くなり、当院でも多く見受けられます。
痛みを訴えることは少ないですが、後々運動機能が損なわれたり、関節炎を起こす可能性が高い病気のため、治療をお勧めします。

膝蓋骨内方脱臼とは膝の「おさら」が、内側にずれて(脱臼)しまうことです。
一般に内方脱臼は小型犬(チワワ、ポメラニアン、パピヨン、ヨークシャー・テリア、トイ・プードル、シーズー、マルチーズ)に多くみられます。
逆に、外方脱臼は大型犬に多くみられます。

先天的、あるいは何らかの障害(外傷など)によって発生します。
原因は様々で、骨構造・筋腱・滑車溝(膝蓋骨が収まる溝)の異常が考えられています。

【診断基準】
触診やレントゲン検査、臨床症状

【臨床症状】
膝蓋骨が脱臼したときだけ跛行が明らかになるものから、常時脱臼状態で異常な歩様や破行をするものまで、脱臼の程度で異なります。
変性性関節炎などがある場合は痛みを示すことがありますが、ほとんどの場合には触診による刺激に対しては反応を見せません。

【治療】
新生子の場合、歩行をはじめたころより症状が出始めた場合や、遺伝的素因を持つ犬では、膝関節の屈伸運動を1回に100〜200回、1日数回行うことによって、その後の習慣性脱臼の予防になることがあります。

根本的な治療は外科手術になります。
脱臼の程度により、いくつかの手術法を組みあわせておこないます。

骨の成長が止まっている成犬で、脱臼が軽度の場合は運動や体重制限、鎮痛剤の投与で経過観察することがあります。
しかし、成長期の子犬や常時脱臼してしまう成犬の場合は予後を考慮すると外科手術をお勧めします。
特に、子犬は骨や筋腱の正常な発育を妨げ、生活の質を低下させてしまう恐れがあります。


【脱臼の程度による分類の1例】(いくつか提唱されています)
グレードT:膝関節はほとんど正常であるが、関節を伸展して指で押すことによって簡単に脱臼が起こり、緩めると元に戻る。
グレードU:膝関節を屈曲した場合に脱臼が起こり、指で押すか関節を伸ばさないと元の位置に戻らない。
グレードV:膝関節が脱臼したままの状態が多く、患肢を伸展すると時折もとに戻ることがある。
グレードW:膝蓋骨は脱臼したままで、外科的処置を施さなければ整復できない状態。

他、参考になるページです
http://www.jahd.org/jahdnet_d.htmlの遺伝性疾患の膝蓋骨脱臼を参考にしてください。
熱中症(日射病、熱射病)
平成20年3月19日
熱中症とは高温で湿度の高い環境下で起こる様々な体の障害の総称です。
気温や湿度の高いところで運動をしたり、屋外で長い間、直射日光をあびていたり、室内でも高温で換気不十分な場所にいると、高体温やぐったりするような症状が見られます。

【起こりやすい環境】
@車内
Aお散歩

車内でのお留守番は特に注意が必要です。春や秋の過ごしやすい季節は油断しやすく、短時間でも熱中症になるものと認識しましょう。

【症状】
@微熱・高熱
A嘔吐や下痢
B尿・便の失禁
C呼吸の様子がいつもと違う、不安定
Dぐったり(虚脱)
Eケイレン

私の経験上、上記の環境でも個体差や犬種差があるようです。
何らかの原因で体力がなかったり、お年寄りの動物は軽い運動や屋外で朝日を少し浴びただけでも、命にかかわるほどの重い症状になりました。

また、短頭種(シーズー、パグ、狆、フレンチブルドックなど)は鼻腔が狭かったり、軟口蓋過長(夜間にいびきがある子は注意です)によって呼吸困難を起こしやすく、結果、体温調節がうまく出来ずに熱中症にかかりやすいようです。

応急処置として、
@風通しのよい涼しい場所で安静にさせる
A高体温(41℃以上ある場合)があれば水シャワーをかけたり、氷嚢や冷却まくらなどで股や脇を冷やします。
B水を飲めそうであれば、少しずつ飲ませましょう。一気に飲ませると吐いてしまうことがありますので注意して下さい。

その後、すぐに病院へ連絡し来院して下さい。
落ち着いた様子になっても、体内ではあらゆる変化が生じていおり、治療が必要な場合があります。


小春日和のような気持ちの良い気候でも、熱中症は起こりますので注意が必要です。
犬猫はヒトより「暑さ」を苦手としています。
薄着でお出かけできるような気候になったら、散歩に連れていく時は、地面を触って熱くないかチェックし、こまめな休息と水分補給をしましょう。
車での移動では、車内は換気とエアコンで動物が快適に過ごせるようにして下さい。

乳腺腫瘍
平成21年2月16日
犬の乳腺腫瘍は、犬の各種腫瘍のうち皮膚腫瘍に次いで二番目に発生の多い腫
瘍です。

良性と悪性の割合はおよそ 1 : 1です。犬の乳腺は5〜7対ありますが、同一の
乳腺組織内に複数の異った種類の腫瘍が発生したり、各々の乳腺組織に違う種類
の腫瘍が同時期に、あるいは時期をずらして発生することがあります。

猫の乳腺腫瘍の80%以上は乳腺癌で発見時にはすでに肺に転移していること
が多いようです。

最初の発情前に避妊手術を行った犬では発生率は0.05%であり、初回発情後
に避妊手術を行った場合は8%2回目発情以降の避妊手術では26%になりま
す。2歳以降の避妊手術では乳腺腫瘍の発生に対する予防効果はほとんどないと
されています。

近年、若齢の犬に避妊手術を行うことが多くなってきたため、発生率は徐々に低下
する傾向にあります。
稀ですが、犬・猫ともにオスにも発生があります。

【治療】
第一選択は摘出手術です。
ほか、転移や再発があると放射線療法や摘出後に化学療法を行うこともあります。

うさぎの不正咬合
平成20年12月27日
ウサギの永久歯は切歯と臼歯、合わせて28本あり、これらは犬や猫と違い、生涯にわたって延び続けます。上下の歯がうまく噛み合わさることにより、適切な長さに保たれていますが、何らか原因により噛みあわせが悪くなると正常な歯の摩耗ができず、異常な歯の伸長が起こり不正咬合が起こります。
原因としては
@遺伝的要素
A外傷
B歯根膿瘍
C不適切な食事
D老化
などが挙げられます。

予防としては歯をよく使う牧草(繊維質の多い食事)を与え歯の摩耗を促す。
金属ケージを齧るなど歯や歯根が痛む行動をさせない、などがあります。
遺伝的な要素や老化の予防は困難ですが、早期に発見することにより日常生活の質は維持できます。

症状
伸長した歯にもよりますが舌、頬、上唇、下唇を傷つけるようになります。
その結果、
○固いもの(ペレットなど)を避けて、柔らかいもの(野菜や果物)だけを食べるようになる。固いものをうまく食べられない。
○歯ぎしりする(腹部痛がある時も見られる)
○流涎(よだれ)が多くなる(顎から頸部にかけてよだれで汚れる)

発見が遅れて病状が進行すると、歯の問題だけでなく、えさが食べられない、痛み等で胃や腸の働きがまで影響が及び衰弱していきます。

治療
伸長した歯が切歯だけの場合であれば、無麻酔でも歯科用のはさみで切ることができます。臼歯の場合はハサミで切るだけでなく、やすりや歯科用ドリルで削る必要がありますので、一般的には麻酔下で処置します。しかし、うさぎの年齢や体調、性格によっては麻酔の有無を変更して処置します。

ウサギなど捕食される側の動物は特に症状が進行するまで病態を隠すことが多いものです。食欲、糞便の状態など日々の観察をよくしてあげてください。

見過ごされやすい犬と猫の歯周病
平成20年12月23日
歯周病は成熟した犬と猫に多くみられる病気です。唾液や食物が歯に蓄積し、細菌が増殖し、歯垢(プラーク)となりそのまま放置されると、歯垢は石灰沈着し、歯石となり、放置しておくと歯肉に炎症を生じさせます(歯肉炎)。炎症の進行とともに、歯肉や歯を支えている組織が破壊され、痛みを感じるようになります(歯周炎)。さらに悪化すると歯が抜けてしまうことがあります。慢性の歯周病の経過に伴い、細菌は腎臓や心内膜、肺などにばらまかれるようになり、これらの臓器の一部の障害の発生にも関係するともいわれています。



家のワンちゃんネコちゃんも見てあげて下さい。

こんな症状はありませんか?
○息が臭い
○唾液が滴り落ちている
○歯が抜けている
○黄褐色の歯石がたまっている

○食べるとき痛がるそぶりがある
○歯茎から血が出ている
○行動に元気がない・沈んでいる・老けこんだ気がする
○口を足でかいている
○噛み方や食べ方がいつもと違う
○食欲がない・食べたがらなくなった
 
予防

○ホームケアとして定期的な歯のブラッシング(一番大事)
硬めの歯ブラシで磨くのは歯が痛むためよくありません。やわらかめの歯ブラシを使用してください。小型犬や猫は、動物用かヒトの子供用の歯ブラシを使用して下さい。

 動物用ハブラシ&歯磨きペーストセット→       ←歯磨きペースト(チキン味、モルト味)                              

○硬いものを噛ませない(歯が割れる原因になります)

○新鮮で、清潔な水を与える

○歯周病管理用フードを与える             

 酵素入りはみがきガム→ 

 
2〜3歳ですでに何らかの歯に関する病気を持つといわれています。


すでに付着してしまった歯石はブラッシングでは落とすことはできませんので病院での治療をお勧めします。


一般的に、動物の歯石の除去は麻酔下で行います


【当院の方針】


より安全に麻酔をかけるために、当院では麻酔前の検査をお願いしております(検査項目は対象動物の年齢や状態によって変わります)。また歯石除去の処置中の麻酔中・後に静脈点滴を行い血圧低下に伴う臓器(たとえば腎障害)への影響を配慮しております。


処置の内容は超音波スケ―ラーにて歯石を落としたのち、歯肉縁下の歯石を歯科器具で丁寧に落とします。その後歯石再付着予防も兼ねて2種類のペーストを使用して歯の表面を磨き上げます。


処置前
処置後
処置後は口臭がほぼなくなりますので、飼い主さんから非常に喜ばれています。


口臭がなくなることでさらに愛情がわくようです。




歯石除去の料金には麻酔料、当日の抗生物質注射および術中静脈点滴と処置前後5日分の抗生剤を含みます。


※体重や口の中の状態により、料金は異なります。



 055-225−4112